こんにちは。夢の宮アネックスへようこそ。
管理人のEki-MAJOです。


歴史上、ファッショニスタ、アイコンと呼ばれる女性は何人かおりますが、ナポレオンの最初の妻、ジョセフィーヌもそんな女性でした。

彼女の場合は、天性なのか、マルチニック島からパリに出て磨かれたのか知りませんが、なかなかセンスのいい女性だったようです。

彼女が、同時代のタリアン夫人(テレジア・タリアン)やレカミエ夫人のような誰が見ても美人なタイプではなかったことが関係しているでしょう。

エキゾチックな美貌とは言われますが、正統派の美人ではなかった。だからこそ自分を磨く(魅力的に見せる)努力は惜しまない女性でした。

彼女は若い時から虫歯がひどく、歯が何本も抜けていたといいます。それでよく口元を扇子で隠していた。
そのしぐさが返って優雅と人に思われる。そんな女性でした。

それでモテて、6歳年下のナポレオンを見事、虜にしたのだから、「雰囲気美人」としては、かなりのタマです。(笑)




 皇妃 ジョゼフィーヌ
 ピエール=ポール・ブリュードン 『皇妃ジョゼフィーヌ』

彼女が流行らせたファッションがストールです。

それもそのはず、パリは10月ともなるとけっこう寒い。

いくら流行りとはいえ、真冬のヨーロッパでこんな綿の薄いスケスケドレスを着ていたら、凍死します。
(実際、何人も凍死している怖ろしいファッションだった)

ナポレオンがエジプト遠征の「お土産」として、ジョセフィーヌにプレゼントしたのが、カシミヤのストールで、以降、レディーの必需品にカシミヤのストールがリストアップされるのは、ジョゼフィーヌの影響からです。

ナポレオンはあまりお洒落に興味がなかったと聞きますが、なかなか素敵な夫じゃないですか。

繊維の宝石と呼ばれ、保温力もあるカシミヤは、新古典主義のエンパイアスタイルのドレスにはぴったりでした。


 マリー・アントワネット
 エリザベート=ルイーズ・ビジェ=ルブラン 『青いドレスのマリー・アントワネット』

余談になりますが、実はジョセフィーヌはマリー・アントワネットに憧れていたそうです。「おしゃれ命」「おしゃれ番長」みたいなところはそっくりです。

アントワネットのローブ・ド・フランセーズから、約30年もしないうちに、ジョセフィーヌのエンパイアスタイルのドレスに変化するのだから、女性のファッションの変化のスピードはスゴいものがあります。

髪型も極端な盛髪のアントワネットの髪型から、古代ローマ風のシンプルなアップスタイルへと。
(この時代のレディたちは、毎日、古代ローマのコスプレをして、暮らしているような感じだった(笑))

フランス革命の激動の時代を挟んでいたことも関係してます。
実はフランス革命は、服装史においても「革命」でした。

フランス革命以後、特に男性は(軍服以外は)着飾らなくなる。ズボンの丈が膝から足首まで伸びる。
渋い色のウールの上着、ジレ(ベスト)、ズボンのセットという今の男性スーツの原型ができ上がったのが、フランス革命以後のことです。


ジョセフィーヌがナポレオンに影響を与えたと思われる点が、フランス軍の軍服を華麗にしたこと。
富国強兵と軍服のパワー|夢の宮

理由は、ジョゼフィーヌが「軍服の似合う美男」に弱かった、からです。(笑)

ジョゼフィーヌの歴代の夫や恋人は、みな軍服の似合う美男でした。
最初の夫、ボアルネ子爵、ラザール・オッシュ将軍、浮気相手のイッポリト・シャルル・・・

ナポレオンもチ○、ハ○という点を除けば、若い時はまぁまぁイケたのかな?(後にデ○という弱味も加わるが(;^_^A)

 ナポレオン・ボナパルト
 アントワーヌ=ジャン・グロ 『アルコレ橋のナポレオン』

しかし基本、お洒落に興味のないナポレオンは皇帝になってからは、簡素な近衛連隊長の軍服で通しました。その方が気楽で良かったんでしょう。

 皇帝時代のナポレオン
 ジャック=ルイ・ダヴィッド 『皇帝 ナポレオン』

ナポレオンは惚れた弱味で、随分ジョゼフィーヌに贅沢をさせてあげたようです。

それが、ヨーロッパを代表するハイブランドになって今も残っている。例えば、ショーメにブレゲ。



ジョゼフィーヌから娘のオルタンス(オランダ王妃、ナポレオン三世の母)に受け継がれた時計には、ため息が出ますね。
(マリー・アントワネットがブレゲに注文したNO.160の時計もまた有名ですが)



ショーメには、ジョゼフィーヌの名を冠したシリーズがあって、今も売れ筋商品だそうです。


 皇后ジョゼフィーヌの肖像
 アントワーヌ=ジャン・グロ 『皇后ジョゼフィーヌの肖像』

ジョゼフィーヌのストールは、実物が残っているわけでもありませんが、時々、どんなものだったろう?と思うことがあります。

コート代わりに出来るほどだったから、今のサイズの倍以上はあったでしょう。
カシミアの質も良かったろうから、柔らかったろうな、とも。こんな風にベルト風にまいていたようだし。

幻のストールと言われるシャトーシュについて。もう入手不可能な幻の布です。おそらくジョゼフィーヌも持っていた?



ジョゼフィーヌが贅沢したことで、何かが残る。
因果はめぐるじゃないが、不思議な縁の二人でした。

実はそんなに贅沢をしていないのに、無駄遣いと非難される一方の、マリー・アントワネットとはえらい違いです。

(例のプチ・トリアノン宮殿も建築させたのはポンパドゥール夫人で、マリー・アントワネットは実は「リフォームしただけ」です。リフォーム具合は多少、贅沢だったかもしれないが。
マリー・アントワネットについては「首飾り事件」という世紀のスキャンダルに名前を使われたことが何より不幸で不運でした)

贅沢してもジョゼフィーヌが非難されないのは、ジョゼフィーヌが社交的で「人脈づくり」が非常に上手かったこと。その人脈の広さが夫のナポレオンを結果的に助けたこと。
気前が良くて何でも買ってあげたから、出入りの商人たちの評判が良かったこと、などです。

ジョゼフィーヌといると、ナポレオンは連戦連勝で、ツイていた。ナポレオンの栄光は、ジョゼフィーヌと共にあった。

彼の部下の兵士たちは、「生きるか死ぬか」の極限を生きているので、ツキには敏感になります。

二人の離婚のときには、こう言って反対したと言います。
「皇帝はなんで婆さん(ジョゼフィーヌのこと)と別れちまうんだ。婆さんは皇帝も俺たちも(勝たせて)幸せにしてくれたのに」

他人はよく見てますね。
兵士たちのカンは、正しかった。この後、ナポレオンは『悪夢』のロシア遠征に向かって突き進むことになる。

以降、ナポレオンは「勝てなく」なる。実に、不思議なことに。

案外、こういう男女の縁はあります。

南北朝時代の名将、新田義貞も、後醍醐天皇より勾当内侍(こうとうないし)という美女を賜りましたが、これ以降、彼は「勝てなく」なる。

難攻不落の要害・鎌倉を落とした名将が。

何とも不思議です。

男女の縁は、化学反応ですから。お互いの運と縁という化学反応で、如何様にも変わる。一種の良薬でもあり、劇薬にもなる。


長々と書きましたが、ストールは便利です。秋冬には欠かせません。

  

そのわけは、カリスマメンズバイヤーのMB氏が答えてくれる。

○顔に見えて、ス○イルよく見える。この法則は男女共通。なら何でもいいから(?)、○に巻いとくの!(笑)

私もストールだけは持ってるな(笑)。ファリエロ・サルティもシトラスも一応は持ってるし。○勢丹で買ったストールは愛用してます。



知っておくと使えるストールの巻き方。
私がよくやるのが、一周&一結び、ミラノ巻き、ダブルクロスあたり。無地より柄のあるものが、巻くと面白いかな。お試し下さい。

少し大判のストール(90~100cm×180~200cm)でグシャッと巻くと、首元が温かくて、かつ、いい感じです。
寒くないときは、そのまま垂らしておくのも良いです。

日本には、「帯」というキッチリ結ぶ文化があるせいか、ストールでもキッチリ結びたがるのかもしれませんが、布をフワッと垂らして、服のアクセントにするだけでも良いんです。結び方にマニュアルはなし。


寒い冬の楽しみのひとつは、コートとストールなんです、私の場合。(笑)
夏にはストールは暑くて巻けないし。



最後までお読みいただき、ありがとうございました。
皆さまがお幸せでありますように。